大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1255号 判決

被告人

金光晋永

主文

本件控訴を棄却する。

理由

弁護人小沢秋二控訴趣意第一点中の任意性の調査について

原判決によれば原審はその事実認定の資料として被告人の司法警察員に対する第三回供述調書(論旨指摘のように第二回供述調書とあるは誤記と認められる)を挙示していること及び被告人の自白についてはその任意に出たものであるか否かを調査した後でなければこれを証拠とすることができないことは正に所論の通りであるがその調査の方法については適宜の方法により得べく又如何なる方法で調査したかについてもそのことを調書によつて明確ならしめねばならぬこともないのである而して被告人は司法警察員に対する第一、二回の供述においては何れも本件犯行を否認しその第三回の供述において自白するに到つたものであるがその供述の内容を檢討するにその自白するに到つた経路や本件犯行に関する供述は極めて自然であり且つ原審公判廷における供述とも一致しておるのみならずその他諸般の情況においてその任意性を疑わしめるような点がないので原審がその任意性を調査した上これを証拠となし得るものとしたことが充分窺われるからこれを証拠として採用したことについては何等採証上の法則に反する点がないものとせねばならない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例